大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和29(オ)909 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人木内豊昭の上告理由について。

所論は、原判決に審理不尽、理由不備の違法ありと主張し、この理由によつて憲

法七六条違反があると主張する。所論(イ)の所有権移転登記申請書に権利証添付

の事実及び抵当権設定登記につき所轄法務局から通知を為した事実に関する主張に

ついて、記録を調べてみると、前者については、被上告人は第一審以来右事実を明

らかに争つておらず、かえつてこの事実を肯定しつつなお右登記申請が被上告人の

意思に基くものでないことを主張し、原審も判示のように新に提出採用された証拠

をも取調べた上、結局第一審判決と同一理由によつて被上告人の関知しないところ

であることを認定したのであつて、なんら理由不備は認められない。また後者につ

いては、原審は右通知のあつた事実を認めた上、被上告人の妻D及び息Eは上告人

との関係事情を只管被上告人に秘匿し被上告人自身は右通知も知らなかつたのであ

ることを認定しているのであるから、なんら理由不備はなく、結局所論は、原審の

認定と異なる事実を前提とするものであり、採用のかぎりでない。次に所論(ロ)

の妻Dが上告人の債権元利金の一部を数回にわたつて持参支払つたという事実に関

する主張については、原審は所論のような認定をしているけれども、さらに原審は、

右は被上告人の意思に基かず同人に内密の裡に為されたものであることを認定し、

上告人の追認の主張を排斥していること明らかであるから、理由不備というのは当

らない。なお所論は、以上の諸点について審理不尽を主張するが、記録によれば、

第一審以来詳細な審理が行われていることを認めるに十分であるから、所論の違法

はない。

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以上のとおりであるから、所論憲法違反の主張は、その前提を欠くことに帰し採

用に値しない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 小 林 俊 三

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 垂 水 克 己

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